2008年06月22日

(107) 増刷!


3年前に出した本が、お陰さまで品切れになりそうなので、
増刷することになりました。
読んで戴いた方には感謝します。

今度の金曜日までに加筆修正を連絡することになりました。
何か気なる点があったら教えてください。
内容に反映できるかもしれません。  

2008年06月17日

(106) Golden Compass


アカデミー賞を取ったGoldenCompass (ライラの冒険)を観た。

話の筋はとても単純で、どっちかというと映像を眺めているだけで楽しいものだ。
ニコール・キッドマンは魔女のように存在感がある。
勿論何千人ものオーディションを通過して選ばれた主人公の12歳の女の子は素敵だ。
十分主役をこなしている。

でも、僕にとって一番良かったのはこうした主役でなくて、
あの007のダニエル・クレイグだ。
いいですね彼は。ちょっと無骨だけど愛嬌があって、青い目がエキゾチックだ。
それと、やはり007のカジノロワイヤルで共演したエバ・グリーンが妖精役で出てたのが良かった。
二人とも良いな。

ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーみたいな仲になるんだろうか?  

2008年06月08日

(105) ジョージ・ソロス


ジョージ・ソロスのThe New Paradigm for Financial Markets: The Credit Crisis of 2008 and What It Meansを読んだ。

現在ちょうど2008年を半分過ぎたが、今年読んだ本で最高の内容だと思う。

ちょっと長くなりますが、気になった部分を書きとめてみます。

0) 理論より腰痛:
伝説のヘッジファンドマネージャーが、あたかも近所に住む親父さんのような肉声で読み取れます。彼なりに一所懸命に投資理論を説明しようとしているが、結局最後は、腰痛に耐えられなくなり、売りの決断をしたタイミングが、理屈よりも良い結果を出した、といった本音を出しており、笑えます。

1) 一つの時代の終わりと、富の破壊:
実はこれが知りたくて、この忙しい中、暇を見つけて先月出たばかりのこの本を一気に読んでしまいました。結果、しっかり自分の頭に入り、これからの仕事に貴重な指針になったと思います。

2) アダムスミスの否定:
自由放任経済を肯定し、市場経済は見えざる手による均衡に向かう、とするアダムスミスの理論をReflexivityという彼の持論で否定してます。現在起きている様々な金融・経済現象を観察すると納得。信用創造のレバレッジの大きさで、金融当局の規制無しには、もはやバブルと恐慌の両極端への振幅により、経済や社会は破壊的なダメージを免れない。

3) 信用創造の縮小:
特に1970年以降の金融自由化と金融技術の高度化により、当局が制御不能な信用膨張が出現している。極めつけは、1998年のLTCMの破綻。ノーベル経済学受賞の二名の学者の均衡理論が木っ端微塵に敗れ去った事件。また、Basel2の導入。個別債務のリスク判定能力を持つ金融機関が、証券化や非現実的な正規分布を前提として高度金融手法を通じ、リスク判定不能なミンチ状のハンバーグ商品を生み出した。金融当局はもはやこのような複雑な化け物のリスク判定をギブアップし、なんと、Basel2規制によって、この判定を商品を生み出した当事者にさせる、というお手盛りのルールをでっち上げてしまった。

4) アメリカ社会の活力の骨抜き:
700万件のサブプライムローンの4割が2年以内にデフォルトを起こす。メリーランド州の場合、住宅保有者の内、アフリカ系黒人の54%、ヒスパニック系の47%がサブプライムローンを抱える。一方白人は18%に過ぎない。従来アメリカンドリームを夢見て、一所懸命働き、貯めたお金で家を買い、生活の質を向上してきた移民が最も手痛いダメージを広範囲に渡って受けている。

5) 住宅バブルとスーパーバブルの同時破裂:スーパーバブルは、戦後復興のマーシャルプラン、ブレトンウッズ体制を通じ、徐々に始まった。ニクソンショック、ドルの金兌換廃止、80年代の規制緩和、続く高度金融商品の発明、911事件後の金融緩和、そして、別の要因としてのBRICS諸国の成長。住宅バブルで特筆すべき点は、米国の場合、住宅ローンの債務不履行でも、債務者責任は住宅に限定され、債権者は不動産の競売を通じてしか債権回収が出来ない。これは他国に無い制度上の欠陥で、不動産価格の極端なCrashを引き起こしかねない。

6) インド、中国、中東、ブラジル、豪州:ソロスは言葉にはしていないが、明確にデカップリング理論を支持していることが読み取れる。従来はアメリカがくしゃみをすると他国は風邪を引く、といわれたが最早アメリカにそのような中心的な力は無くなった。マーケット主導のインド、中国、資源ブームの中東、ブラジル、豪州はこれからすくすくと育ってゆく。インドは比較的民主主義が確立しており、息の長い成長が期待できる。中国は今後数年の投資対象として面白い。しかし、既に資産バブルが始まっており、投資はバブル初期にはうまみがあるが、これが弾けるタイミングに要注意。中東やブラジルを始めとした資源国は今後10年は成長を続ける。

7) 時代の終わりと富の破壊:
終わるものや破壊されるものを列挙すると、、、、
・ 世界の中心に君臨していた米国の存在
・ 経済の中心部として比較的経済変動の荒波から守られてきた欧州や日本などの先進諸国
・ 米ドル
・ 信用膨張
・ 自由放任経済

8) デカップリング:
発展途上国の経済と欧米日先進諸国の経済規模の比率は30:70。
以上のシナリオからすると、30を「たった30」と観るよりも、「既に30になっている」と観たほうが現実的。年率成長率の差が6%前後あるので、この存在感は加速度的に強化される。

9) 福岡伸一さんの「生物と無生物の間」:ソロスのReflexivity理論は福岡伸一さんの論述にとても符丁が合っている。
彼は、「生命の本質を言い表す言葉に、たんぱく質は原子・分子に比べて途轍もなく大きい」という事実を指摘している。原子・分子のような小さな存在は、ブラウン運動のように、無秩序な分散運動を繰り返し、エントロピーの法則にしたがって、やがて均衡状態に達する。しかし、人間のような生命体は、動的な均衡を維持しつつ、秩序をもって、一方向に進んで行く。目的を持って武器を作り、戦争をしたり、投機的行動に出て、利益を狙うことも出来るが、結果的にこれが分散による均衡でなく、集中による破壊的な不均衡をもたらす事も往々にしてある。

つまり、環境問題も金融問題も、従来は地球の大きさに比し微々たる存在だった人間の活動の大きさが、「途轍もなく大きな」存在になってきたということだと理解している。